暖かい料理を知りたいあなたへ

 皆さんは料理をしますか? 手軽な料理を作る人や凝った料理を作る人。反対に冷凍食品や飲食店やファーストフードで済ませる人もいるでしょう。

 今回紹介する本は料理を作る人にはこの料理はこんな時に作ってやるといいと思わせてくれたり、料理をしない人には料理をしてみようと思わせてくれます。

 講談社文庫様より出版されている文庫小説『彼女の献こんだて帖(著者:角田光代)』

 こちらの本は各章の主人公が料理についてどのように触れ合っていくのかをショートの形式でまとめた小説となっています。一つ一つのお話が短いためあまり本を読まないといった方にもオススメしやすく、尚且つお話一つ一つがとても心温まるものが多いので読むとどこかほっこりした気持ちになります。また、主人公は学生から高齢者まで登場してくるので様々な年齢層の気持ちが理解でき、どんな時に『料理』というものに目を向けるのかを楽しむことができます。

 またこの本には物語だけではなく物語に登場した料理がレシピとして載っております。それはもう、珍しいものから親しみのあるものまで。

 

(この先少しだけネタバレ)

 

 私がこの本を読んでいて凄いと思った点を一つだけ。

 内容が素晴らしいのは当たり前ですが、私はこの小説を読んでいて各章ごとの繋がりについて面白いなと思ってしまいました。一章から二章、また二章から三章と次章へと続く際にその主人公に何かしら関わりのある人物が次章の主人公として登場していきます。それは必ずしも親しい仲ではなく、店に訪れた際に話しかけられた店員に変わったりバイトの店長だったりします。たとえ関わりが小さくてもそれを次章に繋げていくことに私はすごく感銘を受けました。

 気づいた時には、

「え、この人ってさっき登場した人じゃない?」

「あ、この人前に登場した人だ」

と、驚いて思わず声に出てしまいました(笑)。

 とにかく、こちらの本料理をしてみようかなと思う人やどこか料理というものに変化を与えたい人にオススメです。本屋さんに行った時にでも手に取ってみて下さい。

  •  ちなみに私はこの本を読んでうどんを作りました。

 

彼女のこんだて帖 (講談社文庫)

彼女のこんだて帖 (講談社文庫)